動機付け

たまブログvol.4。
ロートレックコネクション 愛すべき画家をめぐる物語」に行ってきました。
はじめて展覧会のポスターを見た時は、「ロートレックコレクション。ふむふむ、ロートレック展ね」と思いました。
しかし、よくよくを確認するとなんと「ロートレックコネクション」ではありませんか。「何?見たい。あー!またBunkamuraにやられてしまった」と思いました。


アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック1864年生まれ。先天的に骨が弱く、少年時代の骨折が原因で、成人した時の身長は152cmだったといいます。



ロートレックといえば、ベルエポックやモンマルトルの自由人、ジャポニズムといったイメージが思い浮かびます。


今回のロートレック展は、ロートレックを取り巻く画家仲間や友人達とのコネクション(交友関係)がクローズアップされており、ゴーギャンゴッホの作品も同時に展示されていました。
ロートレックの作品といえば、パリの歓楽街を描いたポスターやリトグラフなどが有名ですが、今回の展示会ではマネのような印象派風の作品が展示されたり、彼の師匠が描いた馬の絵の横にロートレックの馬の絵を並べて見せるなど、彼が影響を受けたり、影響し合った人々の作品と共にロートレックの作品が紹介されていました。


彼の描く女性達はなぜかみなエレガント。ドレスにはオレンジ色がよく使われており、グローブや男性のタキシードに使われるブラックとの対比があざやかです。彼が身を置いた、華やかなパリの歓楽街での明と暗を表しているのでしょうか。


おもしろい発見としては作品の中に、落款をまねたようなデザインのサインがあった事。日本の影響を受けた彼ならではの、サインだと思いませんか?

Bunkamuraで開催する展覧会は企画内容がおもしろく、それも作品を見に行こうかどうかを決める際のきっかけ(動機付け)のひとつになっています。
昨年は、「ルノワールルノワール」が開催され、画家であるピエール=オーギュスト・ルノワール(父)と、映画監督であるジャン・ルノワール(息子)の作品が展示されました。同じテーマで絵画と映画を対比させる事によって見られる、巨匠と呼ばれる二人の共通性がわかりとても興味深かったです。他にも息子のジャンが父であるピエールから受けた多大な影響が窺え、家族を物語る貴重な写真や手紙なども展示されていました。
作品からだけではわからない時代背景や、ストーリーを知る事によって、さらに想像力をかき立てられる。視点を変えて見る事によって現れる新しい発見。
絶対的とも言える作品や有名すぎて新鮮さがなかなか持てない作品をワクワク、ドキドキさせる方法で構成する事によって興味を引きつける。

ファッションを企画して売る事についても、この感覚は大切な事ではないでしょうか。
特にベーシックといわれる商品ほど、購買意欲をかき立てられる要素をいかに付与できるかが、消費のための動機付けとなり他社との差別化につながるのではないでしょうか?