セレクトショップの行き先

こんにちは、安部です。


いきなりですが、マクネアの「小売りの輪」という古典的な小売り理論をご存じですか?


革新的な業態が登場すると、マーケットリーダーは規模ゆえの組織の硬直化・陳腐化などにより革新に対応できず衰退の道をたどります。こうして登場した革新的な業態は規模拡大を実現しますが、同様に硬直化・陳腐化などにより新たな革新的な業態に追い落とされてしまうという現象です。


下の例を見ると、分かりやすいと思うのです。


「百貨店が栄華を誇っていた時代にダイエーが革新的な価格破壊でGMS(量販店)という業態を展開し、1970年代に百貨店の三越の売上を抜きさった。ところが、その後の成熟過程でGMSは百貨店と同じように、ヤマダ電機ユニクロなどのカテゴリーに特化して低価格を訴求する革新的業者が登場し、追い落とされました。」


今まさに「セレクトショップ」という業態が、この陳腐化の岐路に差しかかったように思えます。


つまり、セレクトショップは、いっぱい儲けたいと思って規模や販売チャネルを拡大して幅広い顧客層を相手にした結果、新鮮であった業態もポピュラーになって、多くの企業がマネしてセレクトショップを展開し、そのうち革新性が薄れて陳腐化して、そうこうしているうちに時代の流れも変わってきて、現在、潮の変わり目にあるような気がするのです。


多くのセレクトショップに行ってもあまり特徴がなくて面白みがない、新しさを感じない。消化率が高い商品、マストレンドに基づいた商品、ベーシックな商品が中心に並ぶようになり、自社PB比率を高めて、セレクト商品の比率を下げた結果であると思います。


アーバンリサーチの竹村社長のコメントが繊研新聞の記事に載っていましたが、「いつも次のセレクトショップってどんな形なのか」を社内で話し合っているそうなのです。


ここで、セレクトショップが自ら革新を起こして次代のマーケットをリードしていくのか、または新しい業態が次代のマーケットを牽引してゆくのか、注意してみる必要がありそうです。